クロスは樹脂製だけではない
壁の仕上げは何にしますか?自然素材で調湿効果も高い漆喰や珪藻土?木のぬくもりあふれる無垢の羽目板?それとも様々な色や柄から選べるクロス?
住宅でもっとも多く選ばれているのがこのクロスですが、おそらく多くの人が樹脂製素材のビニルクロスをイメージするかと思います。ですが、自然素材の和紙を使ったクロスもあります。今回、そんな和紙のクロスを空間に惜しみなく使っている、インテリア西川さんにお話を伺いました。
和紙だからできる柔らかな光と空間
三条市下田地区で内装業を営む西川和也さん。様々な内装仕上げを手掛けていますが、クロス張りにおいては20年以上の経験をお持ちです。昨年自邸を新築するにあたり、以前から挑戦したかった和紙のクロスを、1階と2階のリビングにふんだんに使用しました。「ロールの和紙をただきれいに張るのではなく、あえて手漉き和紙と同じ大きさに加工しています」と話す西川さん。ちなみに手漉きの和紙の質感を出すために、一度水で湿らせてから手でちぎることで1枚1枚の輪郭をいびつに仕上げています。「1日にできるのは25枚くらいが限度」(西川さん)と話すように、準備段階でかなりの手間暇が掛けられています。

西川さんご夫婦。(西川さんの自宅リビングにて)
さらにこだわっているのが、あえて重なりを作りながらレンガのように段違いに張っていること。これにより立体感が出て、和紙の質感がさらに生きるようになっています。また、1階のリビングにおいては、壁だけではなく、天井の仕上げまで和紙にするという徹底も。
和紙に包まれた空間は、ざらざらとした和紙に反射した光が独特の回り方をするため、実に柔らかい光で満たされます。かまくらのなかで過ごしているような雰囲気というとイメージしやすいかもしれません。その独特の光が和やかな空気を作り出し、家族や来客と過ごす時間の質も大きく変えていく、そんな印象を受けました。もちろん自然素材ですので、調湿効果も期待できます。また、和紙と聞くと伝統的な和室をイメージするかもしれませんが、モダンな空間にもよくなじみます。

2階リビング。自然光が和紙の壁で反射を繰り返し、柔らかく優しい光に変化する。
独自の技を磨く職人さんとの出会いも、家づくりの醍醐味
インテリア西川さんのように独自の技術を磨いている職人さんは少なくありません。前回の記事で紹介した建具屋さんと同様に、クロス屋さんも一般の人が直接依頼するケースは少ないですが、例えば部分リフォームなど目的がはっきりしている場合には、ハードルは決して高くはありません。独自の技術や実績を積んでいる職人さんを見つけ出すというのも、家づくりの楽しみの一つとなりそうです。
もちろん、新築をはじめトータルで家づくりをすることが多いのも事実。その場合には、インテリア西川さんと提携をしているグリーンスタイル 株式会社ダイエープロビスさんに依頼することで、家づくりをトータルでプランニングしてもらうことができます。
目的に合わせて家づくりのパートナーを柔軟に選んでいく。そうすることで理想の家づくりの選択肢はさらに広がっていくのではないでしょうか。
取材協力:
インテリア西川 (住所:新潟県三条市荻堀1162-1 電話:090-4076-6574、0256-46-2320)
(ハウジングこまち編集部 鈴木)
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