※本記事はハウジングこまちVol.35(2022/12/25発行)の巻頭特集『趣味を楽しむ家』掲載記事です。
年間300日海に入る、サーフィンを軸にしたライフスタイル
9歳の頃からスケートボードとスノーボードを続けてきたというご主人。5年程前に、同じ横乗り系のスポーツであるサーフィンに挑戦した。「同じ会社の人に誘われてやってみたら、想像以上にできなくて…。でもそこからサーフィンにはまり、多い年は年間300日くらい海に行くようになりました」。
日が長い6月は夜中の3時過ぎに家を出て、日の出から3時間半程サーフィンを楽しみ、そのまま仕事へ向かうという。波がない日でも海に行き、ひたすらパドリングの練習を行う。「朝が早いので、夜は9時頃には寝ています。子どもたちより早いですね(笑)」とご主人。
家を建てる前は奥様の実家に同居しており、当時はサーフィンから戻ったら、浴室の窓から家の中に入りシャワーを浴びていたという。「玄関から風呂場までが遠かったので、廊下を汚さないように風呂場の窓から入っていたんですよ」とご主人は苦笑いする。
そんな経験から、新居の建築において、外付けの温水シャワーは譲れないアイテムだった。
リビングをはじめとした居住空間に奥様の理想が詰め込まれた一方、ご主人の関心はシャワー設備やサーフボードを収納するスペースなどの外部に向けられていた。
「建物の手前に8畳のガレージをつくって頂きました。そこにサーフボードやウェットスーツ、スノーボード、スケートボードを収納しています。ここで道具のメンテナンスをしたり、サーフボードを眺めたり。ガレージではタバコも吸えますし、居心地がいいので、音楽を聞きながらのんびり過ごしたりもします」とご主人。
木と鉄が融合した空間は、ラフな心地よさが魅力
サーファーにとっての実用性がよく考えられたS邸は、居住空間も同様のトーンで統一されている。
「木や鉄を使ったラフな雰囲気の家が理想で、そのイメージを伝えてつくり込んで頂きました」と奥様。
床はパイン材で天井は杉板仕上げ。どちらも節が多く無骨な雰囲気が特徴だ。テレビの後ろは杉板をヘリンボーン張りにしたアクセントウォールにするなど、こだわりが随所に詰め込まれている。木をふんだんに使った空間に、階段やマリンランプの鉄が入ることで、一層ラフな雰囲気が醸成された。
ゆったりと配されたレザーソファや古材を使ったダイニングテーブルもこの空間によく似合う。「古材の天板は季節によってささくれが出たりして、その度にやすりをかけて滑らかにしています」とご主人は笑う。
天然木ゆえのクセは厄介だが、日々サーフィンで自然と向き合っているご主人にとって、それはごく当たり前のことなのかもしれない。
木に包まれたリビングは居心地がよく、子どもたちが友達を呼んでみんなで遊んだり、勉強をしたりする場にもなっている。「小上がりの隣にはデッキがあり、そこも子どもたちの遊び場になっています」と奥様。ラフな雰囲気あふれる住まいには、誰もがくつろいで過ごせる大らかな空気が流れている。
「これだけ内装に木を使った家はなかなかないと思いますし、すごく気に入っています。でも、一番満足しているのは外でお湯シャワーを浴びれることですね(笑)」とご主人。
やはり人生の中心にあるのはサーフィン。そこはぶれることがない。
【DATA】
村上市 S邸
家族構成/夫婦+子ども3人
延床面積 133.83㎡(40.40坪)
1F 92.43㎡(27.90坪)
2F 41.40㎡(12.50坪)
竣工/2019年12月
構造/木造軸組工法
(取材時期:2022年9月)
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