※本記事はハウジングこまちVol.35(2022/12/25発行)の巻頭特集『趣味を楽しむ家』掲載記事です。
目指したのは庭でキャンプができる家
Mさん家族がファミリーキャンプを始めたのは7年前。「自分が子どもの頃、親に連れられてキャンプに行った楽しい思い出があって。子どもたちにもその体験をさせたいと思い、道具を一式揃えたんです」とご主人。
一方奥様は「初めてのファミリーキャンプは、正直あまり乗り気ではありませんでした」と話す。
しかし一度体験すると、すぐにキャンプの魅力に気付きハマったという。「普通のカレーを作っても、開放的な野外で食べるとすごくおいしく感じたんです。それからは県内で友人家族と一緒にキャンプをしたり、福島県や栃木県にも出かけたりするようになりました」(奥様)。
「キャンプの楽しみの一つに焚き火があり、子どもたちに火起こしや薪割りをやらせたりもしています。焚き火を通して子どもたちの成長を感じられるのもキャンプの良さですね」(ご主人)。
そんなMさん夫婦が家を建てようと考え始めたのは2020年。新型コロナウイルスの感染が拡大したことがきっかけだったと話す。
「当時はアパートに住んでいたんですが、コロナ禍でどこにも行けない期間が続いた時に『自宅の庭でキャンプを楽しめたらなあ…』と思うようになったんです」(ご主人)。キャンプ道具も増えていき、それらを保管していた倉庫も手狭になっていたという。
「僕も妻も元々田舎育ちで田舎暮らしが好き」と話すご主人は、自然あふれる阿賀町の三川地区で130坪の土地を購入。そして、「キャンプを主軸にした暮らし」というイメージを共有できるビルダーに出合い、家づくりを始めることにした。
非日常感を愉しめる土間リビングも
完成したのはシンプルな三角屋根の家。濃い緑色のガルバリウム鋼板で覆われており、背景の山々と調和するように佇んでいる。
家の前の庭に茂っているのはクラピアというグランドカバー。そこにシェルターテントを張れば、キャンプ場さながらの非日常空間ができ上がる。
庭に面したカバードポーチを通り、大きな掃き出し窓からスムーズにリビングに入ることもできる。
内部のプランは、間取りを考えるのが好きだという奥様が描いた平面図をベースに検討が進められ、大きな吹き抜けで上下階が繋がる山小屋のような空間ができ上がった。中でも特徴的なのが、ビルダー担当者の提案でつくった土間リビングだ。
「ここにキャンプ用の椅子やテーブルを置いていて、週末の朝にホットサンドを焼いたり、家の中でもキャンプ気分を味わっています。庭でキャンプを楽しむ時は、これらの道具を掃き出し窓から出して使っています」(ご主人)。
造作家具が少ないのもM邸の特徴。「模様替えが好きで、家具のレイアウトを変えやすい家にしました」と奥様。キャンプ道具はそんな暮らし方との相性もいい。
開放的な家には高い断熱性能が備えられ、夏冬も快適に過ごせるという。風通しもよく、春や秋に窓を開ければ心地いい風が抜ける。「自分たちの好きなことが100%できる家ですね。家でキャンプができるようになり、キャンプ場に行かなくなりました」とご主人。
非日常感あふれるM邸は友達や兄弟が集まる場所になっており、アウトドアを通した和やかな交流が生まれている。
【DATA】
阿賀町 M邸
家族構成/夫婦+子ども2人
延床面積 118.40㎡(35.74坪)
1F 74.52㎡(22.50坪)
2F 43.88㎡(13.24坪)
竣工/2021年11月
構造/木造軸組工法
(取材時期:2022年10月)
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