※本記事はハウジングこまちVol.33(2021/12/25発行)の巻頭特集『眺望のいい家』掲載記事です。
新潟市北区松浜地区の丘陵地。
K邸はその西側斜面に立つ二世帯住宅で、2階にある若世帯のLDKからは広大な景色を一望できる。
眼下には悠々と流れる阿賀野川。
そこをボートが引き波を立てながらゆっくりと進んでいく。
その向こうに見えるのは、ネクスト21や朱鷺メッセをはじめとした新潟市中心部の高層ビルがつくるスカイライン。
さらに向こうには角田山や弥彦山、日本海に浮かぶ佐渡島の山々が連なっている。
「僕も妻も在郷の出身で、子どもたちも同じように伸び伸びと過ごせる場所で育てたいと思っていました。それで、家を建てるなら住宅が密集する街なかではなく、ゆったりとした景色のいい場所にしたいと思ったんです」とご主人。
土地探しには3年の時間を掛け、北区だけでなく、丘陵地が多い秋葉区まで範囲を広げたという。
そうして見つけたのが今年家を建てた土地だった。
「事前に見ていた情報で道路幅が狭いことを知っていたので、あまり真剣に考えていなかったんです。でも、ある日夫婦で見に行ったらすごく眺めのいい土地で、その後すぐに購入を決めました」(ご主人)。
西向きの土地は西日の影響を受けやすいため、一般的には敬遠されがちだが、そのデメリットを上回る圧倒的な眺望の良さから、西へ開く家を建てることにしたという。
K邸は、夫婦と2人のお子様、ご主人のご両親の6人暮らし。
1階はガレージとご両親の居住スペース、共用の水回りなどがある。
切妻屋根が架かった矩形の平面がベースで、そこに広めのポーチが組み合わせられ、安定感のある外観ができ上がった。
そして、そのポーチをつくったことで、真上にはこの家で最も気持ちいいスカイバルコニーが叶えられた。
LDKから続くバルコニーは12畳。空へと突き出す屋外空間には何ともいえない浮遊感がある。
「ここで食べる夕食を子どもたちがいつも楽しみにしています。僕は家族が寝た後、夜一人でコーヒーを飲んで過ごす時間も好きです。夜景がきれいに見えますし、満月の夜もいいですよ」とご主人。
一方、毎朝5時に起きるという奥様は「まだ外が真っ暗な状態から段々と明るくなっていく朝の時間も気持ちいいですね」と、日常における一人の時間も楽しんでいる。
雄大な風景は季節や時間帯によって異なる風情を感じさせる。
「鳥のさえずりが聞こえてきたり、新潟空港に離着陸する飛行機が見えたり、雲の形に目を奪われたり…。本当にいろいろなものを感じられる土地ですね」とご主人。
そう話している間にも日は傾き、阿賀野川の水面がキラキラと輝き始めた。
この高台の家には、ドラマチックな瞬間が365日訪れる。
【DATA】
新潟市 K邸
延床面積 183.63m²(55.61坪) 1F 89.23m²(27.06坪) 2F 94.40m²(28.55坪)
家族構成/夫婦+子ども2人+両親
竣工/2021年4月
構造/木造軸組工法
(取材時期:2021年秋)
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