DIYで内装を借り手が自由に作り変えられ、退去時に原状回復をしなくてもOK!という新しいタイプの賃貸住宅が首都圏をはじめとした大都市圏で増えています。
その背景には、賃貸住宅の供給過剰が挙げられます。既に需要を上回る賃貸住宅がありながらも、新築の賃貸住宅が増えているため、築数十年が経過した古い物件が家賃を下げてもなかなか借り手が見つからない…、という状況が続いています。
そこで登場したのが、借り手が自由にDIYで部屋に手を加えられるという仕組みです。これは大家側にとってはきれいに内装を整えて貸す必要がないため、修繕費を抑えられるというメリットがあり、借り手側は安い家賃で部屋を借りて自分好みの暮らしを自由に作れるというメリットがあります。
新潟ではまだまだそんな「DIY賃貸住宅」は少ないですが、2016年に株式会社リビングギャラリーが自社所有の賃貸マンションで「DIY賃貸住宅」を新しく始めました。どんな物件なのか、さっそく見てみましょう。
1970年竣工の雇用促進住宅をDIY賃貸住宅に
物件名称は「天野宿舎」。新潟市江南区天野にある、1970年に建てられた雇用促進住宅です。雇用促進住宅とは、高度経済成長期に行政主導で建てられた公営住宅。現在はリビングギャラリーがこの物件のオーナーとなり、建物内で空き部屋が出たら順次DIY可の部屋に造り替えています。
DIY賃貸住宅を始めた背景について、リビングギャラリー新潟亀田店の桐生美沙希さんにお話をうかがいました。
「弊社では中央区高志にある『高志レジデンス』など、古いマンションをリノベーションして貸し出すということを行ってきました。それらのリノベルームも人気があるのですが、さらに自分で部屋に手を加えて住みたいという方のニーズに応えられるように、このようなDIYができる賃貸住宅を始めることにしました」(桐生さん)。
部屋の広さは33.38㎡(約10坪)。元々2Kの間取りだった部屋をワンルームに造り変えています。今回見せて頂いたのは、天野宿舎の5階にある1室で、見学用のモデルルームにしているとのことです。
床には建築の下地材として使われるOSBという木質パネルを敷き詰め、壁には自由にネジを打って棚などを取り付けられるように構造用合板が設置されています。
「建築に携わっている方が見に来ることもありますし、DIYに興味がある女性の方にも注目されています。単身の方やご夫婦、小さいお子様がいる3人家族向けの広さです」と桐生さん。
ちなみに壁に自由にネジを打てるだけでなく、コンクリート部分や床を塗装してもOKとのこと。普通の賃貸住宅では、壁に画びょうを打つことさえも慎重になってしまうことを考えると、とても画期的な賃貸住宅と言えます。
水回りは新しいものに刷新
しかしながら、古い建物を借りる時、一番気になるのが水回りです。古めかしいトイレや浴室を好む人はあまりいないかと思います。しかし、そのあたりの心配も無用です。こちらの物件では、トイレ・洗面台・浴室・キッチンは全て新しい設備に刷新されています。
気になる家賃は月4万円。そこに、レンタル浄水器・インターネット回線等のサービスや諸費用が+3,068円掛かります。また、駐車場は1台につき+3,240円。諸々入れても月額4万円台で、快適かつ自由な暮らしが実現できることを考えると、かなりの掘り出し物物件のように思えます。
店舗や事務所利用もOK!
ちなみにこちらの物件は住居としてだけでなく、店舗や事務所としても使えるそうです。
「看板を出さないことや、大きな音を出さないこと、人の出入りが少ないことなどのルールを設けており、どんな使い方をするかは事前にご相談して頂く必要がありますが、店舗・事務所利用もOKです。『この田んぼの景色を眺めながら仕事がしたい!』と、仕事部屋として使っている方もいらっしゃいますよ」(桐生さん)。
たしかに全ての部屋から一面の田んぼを眺められます。南北に窓があるので風の通りもよく、47年という築年数が持つイメージとは異なる、快適な空間となっています。
また、こちらの天野宿舎隣接地では分譲地が造成完了し、「天野エルカール」として現在第1期分譲中。この街づくりのディレクションにはアウトドアメーカーが関わっており、分譲地内の緑地広場では不定期でアウトドアイベント開催の検討もあるとか。
このエリア一帯がアウトドアライフを取り入れた楽しい街になり、ますます天野宿舎に暮らす魅力が高まっていきそうですね。
詳しくはリビングギャラリーのホームページをご覧ください。
取材協力/株式会社リビングギャラリー
参考HP/天野エルカール
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