産地のことまで伝えてくれる、旅する無垢フローリング屋さん

産地のことまで伝えてくれる、旅する無垢フローリング屋さん


家づくりの楽しみの一つでもあり、その家の雰囲気を決めてしまうといっても過言ではない床材。複合フローリングやクッションフロア、カーペットにタイル、和室なら畳…と、価格も特徴もそれぞれ異なる床材があります。

そんな床材の中でも多くの人の心を引き付けるのが無垢のフローリングではないでしょうか?杉やパイン(松)などの柔らかい針葉樹から、オークやバーチ(カバザクラ)、ウォールナットやチークなどの堅木まで、さまざまな樹種の無垢フローリングが売られています。使い込むほどに味わいを増していくことや、触れた時の感触の良さなどが、天然の木材を切り出した「無垢フローリング」の特長です。

そんな無垢フローリングを専門に扱うお店「and wood(アンドウッド)」が新潟市中央区沼垂の沼垂テラス商店街に7月にオープン。さっそくお邪魔してお話をうかがってきました。

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沼垂テラス商店街の中にある「and wood」。

 

店主は産地へと赴く無垢材のバイヤー

and woodの代表・遠藤大樹(えんどうひろき)さんは、この春まで東京都内の木材専門商社でバイヤーとして働いていたそうです。木材の買い付けや検品で、1年の4分の1以上は中国や東南アジアをはじめとした木材の産地へ出張する生活を続けていたと言います。

そんな遠藤さんですが、第2子が生まれるのを機に、子育てがしやすい環境へ生活の基盤を移そうと、奥様の実家がある新潟に移り住み起業を決めたのだそうです。

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and woodの代表・遠藤大樹さん。

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シンボルマークはキクイムシをデザインしたもの。

では、ショールームの中を見てみましょう。

小さなお店がひしめき合う沼垂テラス商店街の中では広めのテナントで、オーク、バーチ、チーク、ウォールナット、マホガニー、クク、栗、カリン、ローズウッド、メープル、フレンチパイン等々…約25種類の無垢材がこちらのショールームで見られます。

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無垢材のショールームなのでサンプルがたくさん見られるのは珍しいことではないかもしれませんが、ユニークなのは、扱っている全ての無垢材の産地に遠藤さんが実際に出向いており、産地のことを詳しく知っている点です。

「製材する前の木材のグレードや含水率のチェック(検品)を現地に赴いておこなっています。それだけでなく、木のバックグラウンドを知ることも大切なので、実際に木が育っている産地まで行き、どんな場所でどんな人が木を切っているのかを見たりもしていました」と遠藤さん。

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ライトアップされたフローリングサンプル。ローズウッドや紫檀などの珍しい木も扱っている。

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実際にフローリングを組んで確認できるので、イメージがつかみやすい。

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ショールームのBGMはウッドコーンスピーカーから流れている。こんなところにも木が好きな遠藤さんのこだわりが。

ちなみに検品といっても、買い手の立場から批判的なチェックをするのではなく、あくまで一緒に作っているフローリングの方向性にずれがないかを確認する「意思疎通」としての意味合いが強いのだそう。「信頼関係がとても重要な仕事なので、相手の人柄や人間性を見て信用することが大事です」(遠藤さん)。

全ての製品をチェックするのは現実的ではなく、効率的でもありません。その上、全品チェックは相手のメンツを潰すことにもなりかねないと言います。

実際、強い信頼関係ができている取引先はそのような厳しい検品をせずとも、質が高い製品を提供してくれるのだそうです。

信用してくれる相手には誠実に尽くしたい。そう思うのは万国共通ということですね。

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インドネシアでメンゲリスの巨木の前に立つ遠藤さん。(写真提供:and wood)

 

商品だけでなく、その物語も伝えてくれる

無垢フローリングは一度張ってしまったらその後頻繁に張り替えをするものではありません。だからこそ、深い思い入れを持って使っていけたら、住まいへの愛着はさらに強まっていくはずです。

海外産の無垢材がどこ国のどの地域でどんな人が伐採や製材に携わっていたか…。それを説明できる建築士さんや大工さんはいないでしょうし、無垢材を扱っている業者の方でも難しいものと思われます。

しかし、商社のバイヤーとして産地へ飛び回ってきた遠藤さんは、物としての無垢材を売るだけでなく、その背景にある物語も合わせて伝えることができます。

これから何十年も住んでいく家の床の背景までを知ることができたなら、思い入れはさらに深まっていくのではないでしょうか?自分の家が世界と繋がっていることを感じられるのは、とても感慨深い体験になりそうです。

ちなみに遠藤さんの無垢材調達の記録の一部がand woodのHP内にある「木材調達記」で垣間見ることができます。

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中国・大連の製材所での一コマ。(写真提供:and wood)

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無垢材を求めて遠藤さんが訪れた中国東北部。(写真提供:and wood)

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中国の製材所で、丸太をフローリングに加工していく様子。(写真提供:and wood)

 

気軽に使える「挽板」のフローリングも

無垢フローリングのプロから素材のバックグラウンドまで教えてもらえるのは、家づくりへの想いが強い人には特に意味のあることだと思います。

その一方で、遠藤さんはそこまでのこだわりを持っていない人にも無垢フローリングの良さを知って欲しいと考えています。「できれば無垢材を使いたいけれど、価格も高そうだし、そこまでのこだわりは正直ない…」。そう考えている人の方が実際には多いもの。

そんな人のニーズにぴったりなのが、基板に合板を使ってコストを抑え、表面に挽板(ひきいた、2mm程の厚さにスライスした無垢の板)を組み合わせた複合フローリングです。価格にすると、無垢フローリングよりも3~4割安く購入できるのだそうです。

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継ぎ目が目立たないウォールナットの挽板の複合フローリング。

厚さ2mm程の挽板は、無垢材を使っているような質感が楽しめます(※一般的な複合フローリングは厚さ0.3mm程度の薄い「突板(つきいた)」が使われています)。その上、突板のように表面が摩耗して下の合板が見えてしまうということがありません。無垢材に近い感覚で使える上に、反りや収縮が少ないため、無垢材で起こりがちな隙間もほとんど出ないという長所もあります。

「既存の床の上に張って、後から簡単にはがせる特殊なテープもありますので、賃貸住宅で暮らしている方にも使って欲しいですね」と遠藤さん。

他にも現地の製材所と一緒に開発したパーケットフローリング(木片を寄せ集めて作ったデザイン性の高いフローリング)など、ニーズに合わせた様々なフローリングの開発も行っています。

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斜めのストライプで色々なパターン柄が作れるパーケットフローリング。

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形の異なる木片で組まれたパーケットフローリングは空間に表情を与えてくれる。

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商品の説明をする遠藤さん。手に持っているのはチークの端材を利用した壁材。

「新しい製品を現地の製材所の方と一緒に作る場合、お金よりも、『一緒にチャレンジしよう!』という思いを共有できることが重要になります。だからこそ、信頼関係が大切なんです」と遠藤さん。

「親しくなったインドネシアの取引先の方から『ちょっと山に遊びに行こう』と誘われて、近場に行くのかと思ったら、実は車で12時間も掛かる場所で、ようやく着いた山で日の出を15分見て再び折り返すという旅行に連れて行ってもらったことがありました(笑)」。そんなエピソードからも、遠藤さんが現地でビジネスを超えたフレンドシップを築いていることがうかがえます。

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インドネシアで現地の人とベスパで遊ぶ遠藤さん。(写真提供:and wood)

 

無垢材の物語まで伝えてくれる遠藤さんの仕事は、ただフローリングを売買するだけでなく、産地と私たち生活者を繋ぎ、双方に豊かさをもたらす仕事と言えるのかもしれません。

現在and woodは遠藤さん一人で運営をしているため、訪問する場合は事前予約がおすすめです。建材という商材を扱っているため、工務店や設計事務所などのビルダーがメインの取引先となりそうですが、もちろん一般の方の来店もOK。これから家づくりを考えている人はもちろん、賃貸住まいで床をDIYしてみたいという人にもおすすめです。

また、無垢材のメンテナンス方法などのアドバイスもしてもらえるので、既に家を購入している人やリフォームを考えている人も気軽に訪れてみてはいかがでしょうか?

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遠藤さんがミャンマーの土産物屋で購入したという黒檀の置物。下のスツールは遠藤さんが学生時代から使っているチークのスツール。

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ショールーム内にはさまざまなオイル塗料やワックスも並んでいる。

 

取材協力:and wood(アンドウッド)Facebookページ
新潟市中央区沼垂東3-5-25 沼垂テラス内
TEL:025-385-6763
MAIL:mail@andwood.jp

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