存在感を増すワイルドで無骨なインテリア
そのワイルドな表情で近年注目を集めている杉の「足場板」。文字通り建設現場の足場用に使われる板で、雨風にさらされ、傷だらけになり、ペンキのしみがついていたりもする木材です。その中古の板は、店舗の床板や棚、什器などとして使われることが多いですが、最近は住宅内のテーブルやTVボードなどの家具にも見られるようになりました。それと同じくして、アイアン(鉄)を使ったインダストリアルな趣を感じさせる家具も近年人気が高まっています。共通するのは、その「無骨」な雰囲気です。
インテリアにおいて、このような余計な装飾を徹底的に排除したラフなものが注目されるようになってきています。20世紀につくられた消費社会に対して、ごく自然と疑問に感じる人が増えてきていることも一因かもしれません。近年古い建物や古い町を生かしたリノベーションが注目されているのも、そんな価値観の表れかもしれませんね。
足場板×鉄のコラボレーション
今年の春、沼垂テラス(新潟市中央区沼垂東)にオープンした「s-plan」は、中古の足場板を専門に扱う小さなショップ。そこに、アイアン製の家具や小物の製造販売をする「SWELD design(エスウェルドデザイン)」の杉﨑潤さんも自ら製作をした製品を並べています。
「ちょうど足場板を使った家具製作をしたいと考えていたときに、『s-plan』さんを訪問したのがきっかけでした。今は私が製作しているアイアン製の家具や小物もここに置かせて頂いて、毎週金曜と土曜だけお店に立っています」(杉﨑さん)。足場板を扱うs-planと、足場板と相性のいいアイアン加工をするSWELD design。その両者が協力することで、新しい価値を生み出しています。
「もともとものづくりが好きで、さまざまな仕事を経験しながら溶接の技術も磨いてきました」という杉﨑さん。杉﨑さんが製作する家具は基本的にオーダーメードのため、お店にある商品は小物が中心。そのため、欲しい家具があれば、こちらで相談をしながら製作をしてもらうことができます。
高い強度を持つアイアンと、リユースされた足場板。装飾を削ぎ落とした素材や製品に心地良さを感じるのは、私たちがいつも十分過ぎるほどのデザインや情報に囲まれているからでしょうか。また、シンプルな要素ゆえに、住み手が空間づくりのイマジネーションを自由に広げられるところも時代に合っていると言えそうです。
各所で行われるイベントにも出店をしているSWELD design。直近では、7月12日(日)10:00〜16:00に、長岡市のpureビレッジ長岡(長岡市新陽2-6-1)で開催されるイベント「十色(といろ)」に出店予定です。また、7月19日(日)にリニューアルオープン予定の新潟市美術館のミュージアムショップ「ルルル」でSWELD designが製作する什器が置かれるほか、同美術館内の「こかげカフェ」にはs-planの足場板が用いられるとか。足場板とアイアン家具の魅力はそちらでも見ることができそうです。
取材協力:SWELD design、s-plan
住所 新潟市中央区沼垂東3丁目 沼垂テラス内
営業時間 木・金・土曜の13:00~17:00
(写真・文: ハウジングこまち編集部 鈴木亮平)
コメント