築30年の農作業小屋がリノベでハイスペックな事務所に!?宮崎建築の新事務所OPEN!

築30年の農作業小屋がリノベでハイスペックな事務所に!?宮崎建築の新事務所OPEN!


先進的な断熱施工を手掛ける工務店・宮崎建築

阿賀野市旧笹神村にある小さな集落、下一分(しもいちぶ)。里山と田園が広がるのどかなこの場所に、4代続く工務店、宮崎建築があります。

現代表で4代目の宮崎直也さんは、高校卒業後大工の道に進み、数年間の修行期間を経て、家業の宮崎建築に入りました。

そこでお父様の元、地元阿賀野市の新築・リフォームを手掛け、地域の住宅の構造を熟知するようになったそうです。

東日本大震災の翌年(2012年)には直也さんが代表となり、そこからは「断熱」に力を入れ始めます。

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1978年生まれの宮崎直也さん。今年1月に完成した新事務所にて。

高断熱住宅の技術研究を行う団体・一般社団法人新住協にも加盟し、一般的な住宅の倍の厚さの断熱材を用いる「付加断熱」や、基礎内を断熱して床下から家中をエアコンで暖める「床下エアコン」といった先進的な高断熱の木造住宅の実績を積み上げていきます。

大工職人でありながら、最新の断熱のノウハウを採り入れた設計も行っており、さらには一棟一棟に深く関わりたいという思いから、構造計算や建築確認申請などを外注せずに自ら行うというこだわりを持って家づくりをしています。規模拡大を目標としていないため、1年間に手掛けられる新築や大規模リノベーションの数は限られますが、何よりもそこに暮らすご家族の満足度を高めることを大事にしています。

そんな宮崎建築ですが、これまで自宅内に設けていた事務所が手狭になり、2月に新しく新事務所をオープンしました。

ちなみに新築ではなく、自宅のすぐそばにあった農作業小屋を購入し、宮崎さんが得意とする性能向上リノベーションで造り上げたものです。

ここから宮崎さんの家づくりの特徴がよく現れた新事務所を紹介します。

 

農作業小屋を高気密高断熱の事務所にリノベーション

こちらが元々の農作業小屋。

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建物周辺には切り株がいくつも見えますが、数年間管理されずに木や雑草が伸び放題だった藪を整えることからスタートしたそうです。

建物は事前のインスペクション(建物診断)で基礎や構造などの大部分がそのまま使えることが分かったため、既存の構造材を生かしながら工事を行ったそうです。一度骨組みだけの状態に解体し、新たに断熱材を充填。壁内は一般的な100mmの断熱材の外側に50mmの断熱材を加え、計150mmの断熱にしています。

窓は性能や特徴の違いを見てもらえるようにと、樹脂サッシと木製サッシ、ペアガラスとトリプルガラス、ガス入りとガス無し、Low-Eガラスと通常のガラス、…と種類を使い分けています。

杉板張りの外壁は浸透系の塗料「ウッドロングエコ」仕上げ。塗膜系の塗料のような新築ピカピカ感はなく、最初から落ち着いた風合いを醸し出します。

先ほどの外観は風景と調和したコテージのような建物に生まれ変わりました。

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お客様の新築・リフォームの合間を縫うように工事を進行。2017年5月に解体を始めましたが、その後ゆっくりと時間を掛けて2018年1月に完成。これから外構も整えていくので、より雰囲気がよくなっていくことでしょう。

 

自然素材をたっぷり使った優しい空間

では、事務所の中に入ってみましょう。元々あった下屋を生かしたゆったりとしたポーチから入ります。

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雨の日はもちろん、雪が多い地域なので、冬場は特に重宝することでしょう。ドアはトリプルガラスを使った木製ドア。一般的なドアよりも重みを感じますが、そこから断熱性能の高さがうかがえます。

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かつての下屋の半分は室内に。広い土間がありますが、断熱が施されているので足元から冷気が伝わってくることもありません。

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玄関を入ってすぐ右に見えるのは、断熱性能の低い家と、宮崎建築が提案する高断熱の家の違いを分かりやすく断面をみせたもの。実際にグラスウール(断熱材)が入っているので、とても理解しやすいです。これを見ると古い家がなぜ寒いのか?なぜ底冷えするのか?なぜ暖房を止めた途端に寒くなるのか?がよく分かりますね。

例えるなら、寒い部屋で夏掛けの布団で寝るのか、上質な羽毛布団で寝るのかというような差が家全体での違いになっているということ。

「高断熱の家に住み始めたら風邪を引かなくなった」という話を取材先でよく耳にしますが、住まいの断熱性能が健康に与える影響が大きいこともうかがえます。

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奥は打ち合わせスペースになっており、ナラの床にナラのテーブル、天井や造作家具はシナ合板ですっきりと仕上げています。

土間のコーナーには正面に2つの窓がある珍しい薪ストーブが。

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Pecan(ピキャン)社製のストーブで、上が薪を燃やすスペースで、下はオーブンなのだそう。「妻が定期的にこの事務所でパン教室を開く予定なので、オーブン付きのものを選びました。この事務所は15坪とコンパクトなので、実は薪ストーブだと室内が暖まりすぎるため普段は使っていません(笑)。調理用&お客様に見てもらうためのものですね」(宮崎さん)。

今度はテーブル側から土間方向と本棚を眺めます。

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建築関係の資料が並ぶ本棚の奥は事務所スペースになっています。「狭い場所の方が落ち着いて仕事ができるんです(笑)」と、建物内で一番気持ちのいい場所は打ち合わせスペースにして、逆にもっとも籠り感のある場所を事務所スペースとしています。

次に土間に設けられている引き違いの窓を見てみましょう。こちらは、右と左で違う種類のものが使われています。

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同じエクセルシャノン社の樹脂窓ですが、右はトリプルガラスでガス入り・Low-Eタイプ。左はペアガラスでガス無し・通常ガラス。その違いは、左の方が光を通しやすく、右の方の景色が暗めになっているのが分かります。

こちらの窓の表面温度を測定してみたら、ペアガラスに対してトリプルガラスが3℃ほど高い数字が出ました。「ただ、日が出ると左のペアガラスの方が日射熱を取得できるので、南側の場合はペアガラスが有利になることもあります。場所によって最適な窓を使い分けることが重要です」(宮崎さん)。

事務所内には窓のサンプルも。その上に見える窓は「ドレーキップ」という窓が配されています。

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横長にとった奥の開口部からは、のどかな景色が眺められます。左の掃き出し窓の外に見えるのはモミジの木。冬が終わったばかりで今は葉がない状態ですが、これから鮮やかな新緑が楽しめそうです。

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ここから反対側奥にあるキッチンへと向かいます。

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造作の棚で打ち合わせスペース・事務所スペース・キッチンを仕切っていますが、上部が空いているので空気が循環しやすく、室温が均一に保たれています。暖房は奥に見えるエアコン1台だけが稼働。冬の間、24時間エアコンを稼働させるか、夜間は電源を落とすかなどの実験を繰り返しつつ、エアコンの効率的な使い方も研究しているそうです。ちなみに、日中は21℃程度を維持し、夜にエアコンを止めて翌朝事務所に入ると2月でも15℃(寒波が来ていた日でも13℃)の室温を保っていたそうです。

こちらがキッチン。

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丁寧に造り込まれた造作キッチンが備え付けられています。家電の配置や使いやすさを考えて設計されており、流しの下は収納にせずにゴミ箱スペースにするというアイデアも見られます。宮崎さんの奥様がパンづくりを行えるように、発酵器やオーブンも備えられています。

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キッチン手前には断熱性能が高いガデリウス社の木製窓がありますが、こちらもトリプルガラス。

しかもぐるりと180度近く回転するため、室内に居ながら窓ふきも楽々できてしまうという優れものです。

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15坪(約50㎡)というコンパクトな空間ですが、実にみどころ満載の事務所で、宮崎さんが大切にしている価値観が凝縮されています。

宮崎さんは住宅の仕事を通して「地域の家を暖かくしたい」という理念を持っています。それは、高齢化が進んでいるにも関わらず、多くの人が断熱性能の低い家で暮らしている実情があるからです。高齢になるほど高まる「ヒートショック(急激な気温の変化によって血圧が乱高下したり脈拍が変動すること。命の危険に繋がることもある)」のリスクを抑える解決策が、住宅の断熱化。宮崎さんの断熱へのこだわりは、ただ快適な住まいを提供したいということにとどまらず、地域の人の健康を守るという社会貢献性の高い取り組みとなっています。

 

取材協力:宮崎建築 株式会社 (Facebookページ

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