先日、株式会社モリタ装芸のモデルハウスを紹介しましたが、今回は同じ新発田市東新町にある株式会社ハウジングワーク本田のモデルハウスの紹介です。
まず、ハウジングワーク本田の概要について少し説明します。ハウジングワーク本田は関川村にある工務店で、1959年に「本田建具」として創業したのが始まり。
しかし、時代の流れと共に小規模な建具店の市場環境は厳しくなっていきました。そこで、現代表である二代目の本田繁さんが建築士資格を取得し、2001年より住宅事業をスタート。
2015年に「RE住むリノベーション」に加盟するなど、自社のデザインやブランディングを見直し、ここ最近は住まい手の個性的なスタイルを具現化するデザイン力・ディレクション力に磨きを掛けています。
今回はそんなハウジングワーク本田で基本設計・デザイン・コーディネートを担っている海野大輔さんにお話をうかがいました。
異業種から住宅業界に転身
数年前にハウジングワーク本田で働き始めた海野さんは、30代半ばを過ぎてから、異業種から転職してきたそう。「衣食住の全てに関心があり、お客様に提案をしたいと思っています」と話す海野さん。
自身は胎内市旧黒川村の1,000坪近くある広い敷地に建てたログハウスで家族と暮らしており、気分に合わせて外で食事をしたり、お子さんの成長に合わせて室内をDIYでつくり変えたりと、生活を思い切り楽しんでいるそう。
そんなライフスタイルを送る海野さんは「家を売る」という感覚はなく、「衣食住を自分たちらしく楽しむための場所を一緒につくる」という姿勢で家づくりに携わっているのだそうです。その姿勢はカジュアルで自然体な服装にも現れています。
今回紹介する海野さんが設計・デザインを手掛けたモデルハウスは、「料理好きの夫婦が、家族や仲間たちと休日にパーティーを楽しめること」がコンセプト。
ではさっそくモデルハウスの中に入ってみましょう。
デザイン性と機能性を併せ持つ広いポーチ
外観は黒いラップサイディングで覆われたシンプルな佇まい。四角い箱が2つ組み合わせられたようなデザインです。ポーチ部分へ入ると意外にも広い屋根付きの空間になっています。
「車のタイヤやスノーダンプ、自転車などを置いておけるように余裕を持たせています。半分仕切って外部収納にすることもできます」と海野さん。
雪国によくある後付けの風除室では外観デザインがちぐはぐになってしまうため、あらかじめポーチを壁と屋根で囲むことですっきりとしたデザインにしているということです。
ドアを開いて中に入ると、シューズクローク付きの玄関が迎えてくれます。
端にはトイレがありますが、家の隅に配されているため、落ち着いた空間となっています。壁には天然石が張られており、上質な雰囲気で必要以上に長居してしまいそうです。
木・鉄・タイルが融合したLDK
チェッカーガラスのドアを開くとLDKに繋がります。左側がリビング、中央にダイニング、右側がキッチン。中央に配されたアイアンの階段が空間を引き締めるとともに、吹き抜けからの光をLDKへと導きます。
幅広の無垢フローリングはフレンチパイン。大きめの節がラフな雰囲気を醸し出し、パイン材としては堅めの感触も空間の雰囲気によく合っています。
ダイニングとキッチンを仕切る壁の一部にはブリックタイルが。そして黒いフレームがそれとなくLDとキッチンを分離しています。ちなみにこのフレームはスチール製に見えますが、実は木製とのこと。
と言うのも、元々建具店としてスタートした同社は、木を使ったこのような造作が得意分野。設計・組み立て・塗装と、さまざまな造作家具を自社で完結できることが強みとなっています。
「妥協せず繊細な仕事にこだわる姿勢も、高い精度が求められる建具店としてスタートしている私たちの特徴です。関川村という土地柄、1,000坪の広い土地に450坪もの工場を持っていますので、自社でさまざまな加工ができるんですよ」と海野さん。
そんなキッチンにはウッドワン社のフレームキッチンが配され、ここからDK全体を見渡せます。
後ろにはゆとりある収納棚が配されており、壁には外壁に使用するレッドシダーを細かく切って鎧張りにするという遊び心も。
キッチンと言うと「家事がしやすいこと」や「手入れがしやすいこと」などの機能性がうたわれることが多く、それももちろん大切なことですが、このモデルハウスでは、それ以上に住まい手が日々料理の時間や空間を楽しめることに重きが置かれているようです。
朝起きて一杯のコーヒーを淹れて飲むという何気ない時間も、ここでは特別な体験になりそうですね。
北側には一直線につながるバックヤード
一直線にレイアウトされたシンプルな間取りのLDKですが、奥にはそれと並行して浴室・洗面脱衣室・収納・食品庫が1列に並んでいます。
それは店舗におけるバックヤードのような場所で、この空間のおかげで食品はもちろんさまざまな生活用品をすっきりと片付けておけます。また、物干しスペースもあるので、洗濯をした後にそのまま移動せずに干し、乾いたらそのまま棚に入れられます。
そして、西端の浴室と東端の食品庫の窓を開ければ風が一直線に通り抜けるので、自然の力で新鮮な空気を採り入れられます。
ちなみにこの敷地は西・北・東の三方に隣家が立っているため、この3つの方向に極力窓を取らないことでプライバシーを保ちつつ、隣家へも配慮した設計となっています。
2階には3つの個室をレイアウト
2階にはウォークインクローゼット付きの主寝室と2つの子ども部屋が配されています。家族が長い時間を過ごすLDKとは対照的に、各個室は籠り感のある空間です。
しかし、ひとたびドアを開けて廊下に出れば、窓からさんさんと光が入るホールに繋がります。
家族が思い思いに過ごせるLDKがある一方で、個室は静かに眠れる機能が大切になります。そんなメリハリが効いています。
「今の住宅は機能や性能は良くて当たり前になっています。それは当然クリアした上で、家のスタイルがお客様自身のスタイルと一致していることがとても重要だと思っています。せっかく家を建てるんですから、自分が望むスタイルの空間で暮らした方がイライラもしないし、気持ちよく暮らせると思うからです。もちろん、お客様自身が自分のスタイルを見つけられていないこともありますが、誰もが潜在的に持っているものだと思います。それをしっかりと引き出すことから家づくりをしています」と海野さん。
このモデルハウスは、海野さんが話す「スタイル」を持つことの楽しさや大切さを具現化した一つのモデルケース。夫婦で一緒に料理をし、仲間たちと共に食事やパーティーをして過ごす時間を大切にした住まい。そんな場所で暮らせたら人生がもっと楽しく充実したものになるはず…。家づくりの先にある素敵な体験をこのモデルハウスから感じることができます。
見学は予約制になりますので、興味のある方はハウジングワーク本田にお問い合わせを。
ちなみにこのモデルハウスは販売も行っているそうですよ!
取材協力:株式会社ハウジングワーク本田
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