※本記事はリフォームKomachi Vol.9(2022/8/25発行)の巻頭特集『人生を変えるリノベーション』掲載記事です。
植物や雑貨を飾りたくなる、美しい器のような住まい
太田さんご夫婦が家を購入したのは9年前。
「いずれ直すことを見据えて、築13年の中古住宅を買いました」と夫の哲寛さんは話す。
当時は夫婦と長女・長男の4人家族だったが、やがて次女・次男が生まれると部屋数が足りなくなることが分かり、改築することを決めた。
「必要としていない和室が広いスペースを占めていたり、全体的に使いにくい間取りだったんです。デザインが気に入って買ったソファも空間に合わなくて。私たちが望む生活ができる家につくり変えたいと思いました」と妻の礼子さん。
奥様が以前からインスタグラムを見て気になっていた設計事務所に依頼を決めると、ヒアリングシートには具体的な要望を書き入れるだけでなく、設計の参考になるようにと1日の生活の流れまでを細かく書き込んで伝えたという。
「以前からその設計事務所さんが手掛ける家が好きだったので、うちはどうなるのかな? と、ワクワクしながら打ち合わせをしていました」と礼子さんは当時を振り返る。
工事が始まると、まずは基礎・躯体・屋根以外の全てが解体された。
内装・設備・外壁が刷新されたのはもちろん、新築同様に断熱材が充填され新しい窓が取り付けられたことで、断熱性能も大きく向上。
約5カ月の工事期間を経て、杉板に包まれ落ち着いた雰囲気をまとった住まいに生まれ変わった。
ファサードの大きな変化の一つが、和室を減築してつくり出したデッキテラスだ。
「週末はここに椅子とテーブルを置いて、家族でお昼ごはんを食べています。夜の雰囲気もいいですよ」と哲寛さん。
吹き抜けによって生まれた、開放感と空気の流れ
そして、掃き出し窓から中に入ると、そこには20畳を超えるLDKが広がっていた。
1階の床の大部分がチークのパーケットフローリングで、正方形のパターンがどこまでも続く様子は圧巻だ。
左側の壁は魚沼杉の羽目板仕上げ。それ以外の壁や天井にはガボンマホガニーの合板が張られており、さまざまな樹種に包まれながらくつろげる。
新たに設けられた吹き抜けで上下階が繋がるようにもなった。
吹き抜けは2階の光をリビングに届ける役割を果たす他、空気の対流を促し、上下階の温度差を小さくするのにも役立っている。
「ひと冬を越しましたが、暖かさが全然違い快適でしたね」(哲寛さん)。
他にも、モルタル仕上げの洗面台や廊下沿いに設けた大容量の収納、2階のセカンドリビングなど、設計事務所の感性と工夫が随所にあふれている。
「リノベーションする前は、旅行から帰ると『ああ、現実に戻って来たな…』と残念な気持ちになっていましたが、今は帰ってくるとすごくホッとするんです」(礼子さん)。
中古住宅を購入して9年。一つの時代に区切りを付け、新たな住まいに新たな家族の記憶が刻まれようとしている。
【DATA】
新潟市 太田邸
家族構成/夫婦+子ども4人
種別/戸建て(築22年)
構造/木造軸組工法
延床面積/202.18㎡(61.16坪)
リフォーム面積/202.18㎡(61.16坪)
(取材時期:2022年7月)
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