新潟県の3~5人家族の新築住宅では、床面積が30坪~40坪程度の住宅が多く見られます。しかし、今週末4月18日(土)~20日(月)の3日間完成見学会を開催する、株式会社高田建築事務所の新築注文住宅は、なんと21.50坪というコンパクトさ。見学会準備中のこちらのお宅にお邪魔し、担当の今井隆造さんにお話をうかがいました。
「お施主様がどんな生活をしたいのかという、暮らしのイメージをヒアリングしていく中で、『家族みんなの顔が見え、声が聞こえること』がテーマであることが分かりました。そうしてヒアリングと設計を進めながら、なるべく間仕切りを作らず、ワンルームで住める家を提案させて頂きました」(今井さん)。
下記の平面図を見ると分かるように、1階も2階も間仕切りはほとんどなし。食事をする場所とリビングを分ける「LDK」という考え方ではなく、リビングで食事もしてくつろげるようにしています。また、“キッチンにいながら家族と過ごしたい”という奥様の要望も、このコンパクトな設計により叶えられています。ただ、コンパクトにしながらも、間仕切りの上部を抜いたりガラス窓にすることで、圧迫感をなくし広がりを感じられるようにするなど、細部にも工夫がほどこされています。そして、リビングから続くウッドデッキの存在で、目線は自然に外へと伸び、ゆとりを感じさせています。
そして、8.75坪の2階に上がると、間仕切りは一切なし。「お子様が成長して個室が必要になった場合には、間仕切りができるように天井に下地を入れています。また、あえて作り込みすぎないことで、必要に応じてDIYをしていけるようにしました」(今井さん)。
また、施主さんの希望の一つに“夏でもエアコンが要らない暮らし”というのがあったそうですが、玄関扉に網戸を入れて、南北に風が抜けやすくする工夫をしています。また、コンパクトであることで、家のどこにいても自然光が行き届く、心地よい空間が実現されています。
今井さんは「コスト的な理由と言うよりも、お施主様の理想の暮らしを具体化したらこの大きさになった」と話します。かつて、自動車や持ち家は、ステータスの象徴という側面が強かったように思います。家に関してはその「大きさ」が分かりやすい基準であったかもしれません。しかし、今は個人ごとに異なる価値観やライフスタイルにフィットした住宅がより重視され、住宅の自由度が増してきているように思います。
コンパクトでなければ得られない満足度の高い暮らし。そんな住まいのヒントがこの小さな家には凝縮しています。
取材協力:株式会社 高田建築事務所
(ハウジングこまち編集部 鈴木)
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