元々の用途を変えて建物を使う「コンバージョン」とは?
大規模な改修を施し、建物や空間の価値を上げる「リノベーション」は、ここ数年で広く認知されるようになってきました。老朽化して高い空室率が続いている賃貸住宅の再生手段としても注目を集めています。一方、「コンバージョン」という言葉はまだまだ聞き慣れない言葉なのではないでしょうか?
コンバージョンとは、現状の建物の用途を変更して建物を活用する手法です。石造りの建造物が多いヨーロッパでは一般的で、古い修道院や城をホテルにしたり、倉庫やガスタンクをショッピングセンターにしたり、要塞をナイトクラブにしたり…と、コンバージョンによって実にユニークな空間を生み出しています。
日本でも、供給過剰になったオフィスや店舗を集合住宅やホテルにしたり、工場をショップやオフィスにしたりといった例が見られます。コンバージョンにより時代のニーズにあった建物の活用ができるため、中心市街地の再生方法として近年注目を集めています。今回取材でうかがったのは、新潟ではまだあまり例の少ないコンバージョンの賃貸住宅「ヴィラ・アリエッタ」です。
かつての飲食店ビルを、ペットと暮らせる賃貸マンションに
新潟市の中心部である東堀前通8番町に立つ地上10階建てのビル。かつて37もの飲食店が入っていたこのビルは、時代の変遷と共に入居する店舗が減り、約90%が空室となっていたそうです。このような建物は、その後取り壊されてコインパーキングになり、そして街から賑わいが消えていく…、というのが全国の地方都市で起きている、中心市街地空洞化の問題です。そんなビルを集合住宅にすることで再び賑わいを取り戻そうとしているのがこちらのプロジェクトです。
手掛けているのは、賃貸住宅事業をはじめとした不動産事業を行う株式会社リビングギャラリーと、店舗や住宅のリノベーションやコンバージョンの実績を積み重ねている株式会社AC15。ユニークなのは、ただの賃貸住宅ではなく、1Fにペット関連用品を扱うペットブティックやペットホテルを設け、さらにドッグランや居住者がペット連れで過ごせるコミュニティスペースが計画されていること。もちろん全室ペット同居OKで、ペットと暮らすライフスタイルを手厚くサポートしてくれます。
イケア製家具&キッチンでトータルコーディネートした個性的な18室
2F~10Fまで各フロアには2室ずつ、合計18室の部屋がつくられます。IKEAの家具やキッチンでトータルコーディネートされた各部屋は同じデザインが一つとないオンリーワンの部屋。現在2室が完成しており、残りの16室は3月下旬までに完成する予定ですが、すでに約3分の1の入居が決定しているということです。各室はすべて1LDKの間取りですが、間仕切りが少なく開放的で広々とした設計。ダイニングテーブルやイス、ソファやテーブル、TVボードなど生活に必要な家具が一通りそろっているのも魅力の一つです。
全国の都市の中心市街地活性化の手段として注目されている「コンバージョン」。今後新潟でも、コンバージョンにより、ユニークで新しい住宅が増えていくかもしれません。
建物公式HP:ヴィラ・アリエッタ(http://www.living-gallery-chintai.com/arietta/)
取材協力:株式会社リビングギャラリー(http://www.living-gallery.com/)、株式会社AC15(http://www.ac15.jp/)
(ハウジングこまち編集部 鈴木)
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