※本記事はハウジングこまちVol.33(2021/12/25発行)掲載のインタビュー記事です。
倉庫を改装したお店で、暮らしの提案を行う家具店S.H.S。
代表の城丸学さんにお店の歴史やこだわりを詳しく伺った。
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S.H.S 代表取締役 城丸 学 Manabu Shiromaru
1980年新潟市生まれ。中学生時代から店番をするなど家業を手伝い、短大卒業後に「株式会社ツールボックス」に入社。2020年には代表取締役社長に就任。
──創業からこれまでの歩みを教えてください。
S.H.Sは今から40年前にリサイクルショップからスタートしました。当時は古いものを販売していて、それからアメリカ軍の払い下げの家具や、イギリスから輸入した古い家具の修復を手掛け販売するようになります。
その後、今から20年前の2001年に現在の鳥屋野店の場所に移り、新しい家具も扱うようになりました。
そして、物の紹介から暮らしの提案へとスタイルを変えながら現在に至っています。
創業時からの「古いものを直す」という価値観は変わらずに持っていて、S.H.Sで購入された家具の修理依頼をお受けし、敷地内にあるS.H.Sファニチャーサービスで直しています。
最近は他店で購入された家具もできる範囲で修理・メンテナンスの対応をさせて頂いています。
また、自分たちではできない修理に関しても、地元の業者さんに協力を頂きながら幅広く対応できる体制にしています。
場合によっては買い替えた方が安いケースもありますが、愛着を持って長く使って頂きたいという思いがあります。
──専属の大工さんがいらっしゃると聞きました。
私たちは元々、塗装をしたり空間を作ったり、店内の改装を自分たちでやっていたんです。
ある日その様子を見られていた大工さんが、「何か手伝えることはないですか?」と申し出てくださったんですよ。
暮らしの提案をする上で、私たちもいろんな商品を組み合わせたりレイアウトを変えたりするんですけど、もっとお客様が暮らしのイメージをしやすくなるように空間を作り込みたいと思っていました。
その改装工事を大工さんにお願いしてみると、その技術が素晴らしくて。
それからずっと専属で仕事をして頂いていて、毎日どこかしらを直したり手を加えたりしてくださっています。
万能な大工さんなので、手が空いている時には家具の修復も手掛けています。
大工さんが入ったことで、常に店が変化していけるようになりました。
私たちの店の商品は頻繁に変わっていくわけではないですから、空間の雰囲気を変えていけるのは大工さんがいるお陰です。
それだけでなく、お客様から「この壁を自分の家で作ってみたい」とか「これは何の材料で作られていますか?」とか、空間に興味を持ったお客様と新しい会話が生まれるようになったのも面白い変化でした。
──いくつものショップが入っているのも特徴ですね。
はい。その理由は、家具屋だけでは人が来ないからですね(笑)。
必要なタイミングでしか家具屋には足を運ばないものです。
ただ、一生涯で家具を購入するタイミングが少ないからこそ、日頃から何度も見てもらったり、試してもらったりして頂きたいんです。
そうすれば、いざ家具を購入した時に「やっぱりこれにして良かったなあ」と感じて頂けるのではないか思っています。
そのためには、ここに足を運ぶ目的がいくつもあるといいなと思っていて。例えばレストランで食事ができるとか、さまざまなショップを見て回れるとか。
この場所で時間を過ごすことを楽しみにしてもらいたいですね。
ちなみに家具を買うタイミングとしては、結婚や新築などが大きな節目ですが、そんなライフイベントやライフステージに合うお店が集まっているのも特徴です。
結婚指輪を購入できるお店があったり、子ども服のお店があったり。住宅の相談カウンターや設計事務所もあります。
──現在の場所で20年。どのような変化がありましたか?
S.H.S自体は創業時からの「いいものを修理しながら長く使えるようにしたい」という考え方を変えず、鳥屋野店で20年間やってきました。
その考え方に共感する方が増えているのを感じますね。
例えば、15年前にS.H.Sで家具を買った方が、「だいぶ傷んできたので修理をしようか新しいものを買おうか考えている」と相談に来られて、両方の提案を私たちはします。
そうすると、最終的に修理を選ばれる方が以前よりも増えているように思います。
樹種によってはかつてよりも値上がりしているものもありますから、お客様が持っている家具の価値が購入時よりも高くなっているケースもあります。
そういう意味でも、古い家具を大事に使うメリットがあると思います。
──今新しく取り組んでいることはありますか?
会社としては来年40年を迎えます。
修理の仕事を頂くたびに、これまでのお客様がいらっしゃって仕事を継続できていると感じます。
今までお世話になったお客様の暮らしを今後もいいものにできるように、修理やメンテナンスは今まで以上にしっかりやっていきたいと思います。
あとは、一時的な流行ではなく、普遍的なことでお客様にとって価値のあることを提案できるように模索を続けていきたいですね。
例えば、長岡店では旅館の営業を行っていますが、家具を使って非日常の時間を提供するのも私たちが大切にしていきたいことです。
──最後に、新しい家具の購入を考えている方へメッセージをお願いします。
まずは今の暮らしを振り返ることが大事だと思います。
例えば、大きいダイニングテーブルが全ての家族に必要なわけではありません。
それよりも、くつろげるソファや、しっかり体を休められるベッドの方が優先順位として高いかもしれません。
得られる情報はたくさんありますが、自分たちにとってどんな暮らし方が良いのか?というのを見つめ直して本当に必要な家具を見つけ出すことが大切だと思います。
S.H.S TOYANO
〒950-0948 新潟県新潟市中央区女池南3-5-1
TEL 025-290-8220 営業時間 10:30~19:00(不定休)
S.H.S NAGAOKA
〒940-0825 新潟県長岡市高畑町660番地
TEL 0258-32-5771 営業時間 10:30~19:00(不定休)
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